残念系お嬢様の日常



「一冊だけ? 人気があるの?」

前に借りた『月光の少女』が掲載されていた号は人気でなかなか手に入らないと言われていた。

借りられる分だけでいいから、借りてしまおうかな。



「人気があったから多めに刷ってまだ在庫もあったはずなんだけど、何故かそれだけがなくなったんだ」


在庫も含めて消えてしまったなんて少し妙だ。


しかも、同じ文学部の人に聞いても、在庫がごっそりなくなるほどは配っていないと言うらしい。



「それはどんな話が載っている号なの?」

「前に話したレケナウルティアっていうタイトルの物語が載ってる号」

「……それって、部長が書いた人気の話だったわよね」



ますます気になる。これは偶然?

それとも意図的に隠されたのかしら。



「それってもう手に入る可能性はない?」

「うーん、一応先輩に聞いてみるよ。多分全号持っている人いるだろうし」

「ありがとう」

もしも誰かが隠したのなら、これは知られたくないことがそこに載っているということの可能性が高いわね。



レケナウルティア。


別名:ハツコイソウ。

花言葉は秘密。



いったい、どんな秘密がそこに隠されているのかしら。





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