残念系お嬢様の日常


「みんな、ありがとう」

今度はちゃんと全員と向き合って、お礼を言った。

この顔ぶれを見れば、私の知らないところでなにかしてくれていたことくらいわかる。


「どういたしまして、ってことで一件落着だよな」

「景人様も動いてくださっていたなんて意外でしたわ」

「僕だって友人のために少しは動くよ。お礼に今度弁当よろしく」


……私に弁当を作れと。

できるかしら。張り切ってしまおうかしら。


「真莉亜、手作りじゃなくてもいいと思うよ」

「え? あら、瞳顔色が悪いわよ」

体調不良かしら。

ああ、そうだ。雨宮に関してはあとでちゃんと吐いてもらわないとね。

英美李様の件は教えてくれたけれど、みんなのことは教えてくれなかったし。


目が合うと雨宮がなにかを悟ったのかわざとらしいくらいの微笑みを浮かべて「どうしたの?」と首を傾げた。



……あとでたっぷり聞き出そう。





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