残念系お嬢様の日常
恋した彼らのゆくえ

大人のふりした子ども




翌日の昼休み。瞳は第二茶道室にはこなかった。

スミレとのこともあるから、遠慮しているのかもしれない。


食後の駄菓子を貪っていたスミレは前のめりになりながら、私に耳打ちしてきた。


「真莉亜、本日会議OK?」

「へ?」

「我が家で、会議、OK?」

「お、OK」

放課後にスミレの家ってことよね。そういえば、スミレの家って初めてお邪魔する。

いつもスミレのお兄さんには手作りのスイーツをもらっているし、お礼としてなにか持って行こう。スミレに似てお兄さんたちも美形なのかしら。



「今日は三番目の兄が家にいるの。ハルト兄様っていうんだけど、いつもスイーツをくれる兄よ」

「え……ハルトさんって、もしかして……」


確か瞳の好きな人の名前も〝ハルト〟という名前だったはずだ。

私の反応に察したのかスミレがぎこちなく微笑んだ。





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