3年経ってしまった、消せない話
「お前は人間だからな」

「え?違うよ。だって僕は              だから。不完全な人間だよ」

「最後に教えてやる。世の中なあ…完全な人間なんていない」

「え?君も              なの?」

「違う。あー…お前に説明すると時間がかかって面倒だ。

とにかく完全な人間はいない」

「…?…まあいいや。バイバイ」


**

あいつが帰った後、コップを見た。中の水は減っていなかった。

そして翌日、あいつは予告どおりいなかった。担任は突然転校したと言っていた。

テストはあいつに代わって俺が学年1位になった。

嬉しいような、哀しいような複雑な気持ちだ。


「アオヤ」


ユキミの声が聞こえた気がした。振り向いても何処にもいない。

あるのはユキミが“人間”だった事を裏付ける席だけだった。
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