春雷
***


「柴田先生、話せますか‥?」
僕は、彼女のベッドのそばに跪いて、目線を合わせた。

「少し、痛いで、す‥」
頰も殴られたのだろうか?

彼女の痛みを僕が分けれたらいいのに‥

「柴田先生、ご主人がいらっしゃる前にお伝えしたいことがあります。話すのも痛いでしょうし、今から僕が言うこと、イエスか、ノーで、
答えてくれたら良いです」

彼女は、少し不思議そうな、表情を浮かべたが
うなづき、少し口元を緩めた。


「僕はあなたが好きです」


「?」




「あなたは、僕のこと、嫌いか好きかで言えば、好きなほうですか?」


彼女は
動揺してるのだろう。
瞳が揺れていた。

僕は返事を静かに待った。



しばらくして、彼女は、
小さく、頷いた。





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