春雷

「いや〜んっ、一途やわぁ〜っ」

「長野先生っ!うまく変換したけどただのヤバイ男だよっ!くそーーっ!イケメンはなんでこんな優遇されるんだっっ」

「私なら、間違いなくコロッといっちゃうわあーん」

「僕は自分がイケメンだとは思っていません」

「ハア⁈ 君は鏡見たことないのか⁈」

「何おっしゃってるんですか。毎日見てますよ。鏡くらい。
イケメンというほどの器量が備わっているとは思っていません」


「ああ、なんか疲れた‥。でも、君が羨ましいよ‥ホントは僕だって柴田先生に密かにお慕いしてたんだよ‥。
だけど君みたいに僕は不毛な恋に堂々と参戦できないよ‥」


ずっと目で追いかけていた。

長いこと柴田先生を慕って、密かに恋していたのに、横からこんなイケメンに掻っ攫われていくのは、娘を取られた父親の気分に近い。

「村上先生、
もう一度言いますが、僕は自分のことイケメンとか、思ったことはありません。僕は村上先生こそ、男性的な魅力が溢れているとおもいます。僕も村上先生みたいになりたいです」


長野先生が、ブフーーっと、吹き出した。


「えっ
ボク、イケメンなの‥?」


「かっこいいと思います」


「そ、そう?高村先生、意外と良いやつだね‥」
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