春雷

「やあ、柴田先生!退院おめでとうございます」

「あ、村上先生、先日は、大変ご迷惑をおかけしました!」

「いやあ、ボクは、申し訳ないくらい何もできませんでした。こちらがお詫びしたいくらいです。今日は、柴田先生がいらしていると事務所で聞いて、お伺いしたんです。
お体、具合どうですか?」

「はい、痣がついたくらいで、ほんとは大したことないです。一番目立つ顔は、しばらく仕方ないですけどね‥」

「とにかく、復帰していただけるならボクも安心ですよー。部屋、綺麗でしょ?頑張ってみました!」


「えっ!村上先生も片付けて下さったんですか?!すごく嬉しいです!!!ありがとうございます!」


「あれ、柴田先生一人で片付けるつもりだったんですかあ?
またえらい沢山のゴミ袋‥
あっ!!!
ああっ!!!
あああっ!!!」

「ど、どしたんでしょうか??」


「くっ!靴!この靴!!!」




「ああ、研究室棟の下で、たまたまネコがいたんです。あ、可愛いなーと思ったら、草の茂みに隠れてしまって。それで私もしゃがみこんだら、奥の方にこの靴があったんですよ」


「きっ、きみが見つけたの⁈それ!」

「あ、はい。でも、これ多分高村先生の物ですよね。高そうだし、ちょうど靴を片方無くしたって言ってたし‥」

それよりなぜ村上先生は
そんなに動揺してるのだろう?




「くそ〜〜っ!参った!!!彼の勝ちだ!!!」

「?なんですかそれ」
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