春雷

「柴田先生、僕は貴女の家族を壊すつもりもありません。柴田先生の大事なものは僕も大事なんです。しかし、今日のことについては、あまりにもタイミングが悪かった。貴女からすれば何てことはないでしょうが、僕からすれば、このまま何も説明もできずに受容されるのはとても耐えられないのです。どうか、聞いていただけませんか?」

「そうだよー。なんかわかんないけどさあ、ちゃんと聞いてあげなよー」

なぜか由乃ちゃんに説得されている。

なんで彼女はこんな場面で普通でいられるんだ。

「病院で僕と一緒にいた女性は、僕の元妻で、過去に離婚しています。復縁する予定でもありません」

「わおっ!高村先生バツ一なんだ!それで、琴葉さんは、二人が一緒にいるのを見て、モヤモヤして、あんなパスタ作っちゃったんだね!」

「ゆーーーのーーーちゃああああんっ!!」


恥ずかしくて情けなくて

この二人からもう逃げたい。
< 66 / 110 >

この作品をシェア

pagetop