42歳 主婦 旦那様に片思い中【佳作受賞】
純ちゃんは、『なんとなく』って言ってた割に、毎日、一生懸命筋トレを続けてた。

私なら、絶対、3日坊主で終わる。

純ちゃん、すごいなぁ。
純ちゃん、偉いなぁ。

私は、ひとり、感心していた。


すると、苑がまた私にダイエットを勧める。

「お母さんもダイエットしなよ。
お父さんだけ、筋トレしても
意味ないじゃん。」

ん? 意味ないって?

「苑? どういう事?」

「だからぁ…」

苑が何かを言いかけたのに、純ちゃんが遮った。

「苑、宿題、終わってる?
さっさとやっておいで。」

苑は、不満そうな顔をしながら、
「はーい。」
と自分の部屋へ上がっていった。

なんか、変。

「純ちゃん、何か、隠してる?」

私は純ちゃんに聞いてみるけど、

「何が?」

ととぼけられた。

「苑、なんか言おうとしてなかった?」

「ん? そうだった?」

やっぱり、変。

純ちゃんと苑だけの秘密?

なんだろう?

思春期の娘が父と仲がいいのは、喜ばしい事だけど、私だけ除け者なのは、ちょっと寂しい。

理由が知りたい。

純ちゃんは、聞いても言わなそうだから、聞くなら、苑かなぁ?


私は、翌日、苑を習い事に送っていく車の中で聞いてみた。

「苑、昨日、なんか言おうとしてなかった?」

「え? 別に。」

「お母さんにダイエットがどうとか言ってた
でしょ?」

「あぁ。
お母さん、健康のためにも少し痩せた方が
いいと思うよ。」

「それだけ?」

「うん。」

……… なんか、おかしい。

これは、純ちゃんに口止めされた?

何か言えない理由があるの?


はっ!!
まさか、浮気!?

若い女のために筋トレ始めたって事?

だから、私には言えないし、苑は私にダイエットを勧めてるの?


純ちゃん、そのままでいいって言ったのに。


若い女に走るくらいなら、ダイエットしろって言われる方が良かった。
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