極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
『もう家に帰ったんだよね?』
「はい。今日は比較的早く終われたんです」
『それならよかった。ゆっくり休んで』
(……もう少し話したいな)
スマホ越しに聞く環の優しい声色に、自分の想いが込み上げてくる。
彼の人柄に惹かれ、ひとりの男性として尊敬するところを見つけ、ことあるごとに想いを告げてくる彼の熱に触れていたら、自分の心が大きく波打っていた。
『万佑ちゃん、疲れてるね。今日は黙る時間が長いから』
「ごめんなさい。ちょっと考えてしまって」
『いいよ。黙っていてもなにをしていても、会えない日に時間を共有できてるだけで、俺は嬉しいから』
いつだって相手を気遣い、一緒にいると明るい気持ちにしてくれる男性はそういない。
この前は「また今度」と口約束を交わして別れる時、切なくて寂しくて、彼の手を取って引き留めたかった。
新しい恋は、まだ少し怖い。
臆病になってしまったのは、男性を信じられなくなるのが嫌だからだ。
誰もが元彼のような最低な人ではないと分かっていても、関係を進めるだけの勇気がなかった。