極上恋慕~エリート専務はケダモノでした

「そういうことなら、もう……」
「なに言ってるの? もっと俺を愛し尽くしてよ」
「愛し、尽くす!?」
「まずは、そうだなぁ……俺と万佑が社内公認の仲にならないとね」
「そっ、それだけはやっぱりやめませんか?」

 慌てて万佑が止めると、環はもの言いたげな顔をする。


「オープンな関係を望んでいたのは、万佑も同じだったのにどうして?」
「それは……」
「社内恋愛のデメリットなら、俺が蹴散らしてあげる」

 万佑のためならなんだってすると意気込む環を前に、彼女は黙ってしまった。

(環さんがブルーメゾンに来たら、女性社員の羨望の的になるに決まってるじゃない! あと2ヶ月経ったところで、私が環さんの恋人だなんて知られたら……)


「……分かったよ。万佑は秘密のままがいいんだね?」
「はい」
「仕方ないから、そうしてあげる。だから、これからも結婚を真剣に考えて?」
「もちろんです!」

 強引ながらも甘い環の言動で、すっかりペースを乱された万佑は、あんなに避け続けてきた社内恋愛を始めることになってしまった。

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