同期以上、彼氏未満
「昨日、またアイツと一緒にヘラヘラ笑っとったやろ?


なんなんアイツ、メグに気があるんちゃう?」


「そんなわけないじゃん」


「俺より若くてイケメンやからって、ヘラヘラすんなや」


「ヘラヘラしてんのは昴でしょ?」


「は、俺のどこがヘラヘラしてんねん」


「若くてかわいい女の子に甘えられて、ヘラヘラしてんの何度も見たし」


「んなことあるか、ボケ」


「ボケって何よ、ひどくない?」


「ボケにボケって言って、何が悪いんや?」


「とにかく、私は何とも思ってないし」


「俺やってそうやし」


「嘘だね、昴だって男なんだから、かわいい子に甘えられて嬉しくないはずないじゃん!」


「そんなん、メグやって女なんやから、イケメンからチヤホヤされたらキラキラするやろ!」


「なによその、キラキラって?


意味わかんないし」


「俺のことみくびんなや」


「昴こそ、私のこと信じてないじゃん!」


売り言葉に買い言葉で、どんどん止まらなくて。


「そんなに俺のこと信じられへんのやったら、須川さんとこ戻ればええやろ!」


一瞬の静寂が、ふたりを包んだ。


言ってはいけないことを言ってしまった。


言われたくないことを聞いてしまった。


「もういいよ」


私には、耐えきれなかった。


外は雨だったけど、何も持たずに飛び出した。


夜で真っ暗だし、寒いし。


最悪な気分のまま、走り続けた。


< 109 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop