はつ恋の君をさがしてる
真田さんには二人の息子さんがいて、同居しているのは次男夫婦。
祖父母の家を借りたいのは長男夫婦なのだそうだ。

今は他県に住んでいるが、近いうちにこちらに帰ってきたいらしい。
もうすぐ小学生になるお子さんがアレルギー体質で空気が良い田舎で暮らしたいのだそうだ。

「お子さんのためですか?でもあんな古い家で大丈夫なんですか?それに長男さんはお仕事とかは?ここから通うんですか?」

気になってつい色々聞いてしまう。

「息子夫婦は二人とも農業がしたいと言うんでね、私の畑や田んぼを任せようと思うんだよ。次男夫婦は二人とも教師として働いているし、長男が継いでくれるならありがたいからね。それから孫は新しい家だとアレルギーがひどくなるかもしれないらしくてね、古い家のほうがありがたいんだよ。」

「そうでしたか。そういうお話なら祖父母の家でお役にたてるのなら弁護士の平原さんに話してみます!」

「本当かね!それはありがたい。澤田さんには昔からお世話になったし、鈴加ちゃんの大切な家だから貸していただけるなら大事に住まわせてもらうよ!ありがとう。」

真田さんが嬉しそうに何度も頭を下げるので申し訳なくて、近いうちに必ず平原さんから連絡してもらうからと約束してお暇した。
お隣さんの家を出て腕時計を確認したら知らないうちに1時間以上経っていた。

高嶺さんまだ寝てるかな?
疲れてるだろうし……
もう少しゆっくり帰ろうかな?

私は祖父母の家を通り越してその先にある小さな神社に向かうことにした。
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