はつ恋の君をさがしてる
「おい!どうした?気分でも悪いのか?」

ぺたんと床に座り込み動かない私に、焦れたように高嶺さんがしゃがみこんで顔を覗き込んでくるので、私はあわてて視線をそらすように顔を背ける。

「まだ怒ってるのか?」

怒ってないか?と問われたら怒ってると言いたい!そんな心境だったけれど、さすがに口にはできなかった。

そのまま黙りをつらぬく私に高嶺さんはすぐに興味を失ったかのように立ち上がって、部屋の奥に…

ドアを入ってすぐがキッチンで、申し訳程度にダイニング的なスペースがあり、私はそこに二人がけの小さなテーブルとイスを置いている。
その奥の部屋にはベッドとチェスト。
チェストの上には初任給で買い換えた小さめサイズの薄型テレビと両親と祖父母の為の小さな仏壇がのっていて、それ以外に部屋にあるのは本棚とそこにぎっしり詰まった本ぐらいのものだ……。

洋服は作り付けのクローゼットに入っているが、あまり多くはない。

座ったままで部屋を見渡して、さほど荷物は多くないのだし、新しいアパートさえ見つければ引っ越しはなんとかなるのではないか?と少しだけ気持ちが浮上する。

ノロノロと立ち上がって平原さんに向き直った私は、とにかく引っ越し先を探さないと!と前向きな言葉を発してみた。
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