眩しさの中、最初で最後の恋をした。
少し拗ねた日菜子の口ぶりと様子に、クスクス笑いながら私は答えた。
「一緒にいることが多いし、そういうのって見てると案外分かるものよ?」
そう言うと、日菜子と蒼くんは顔を合わせてから私を見て言った。
「要は言うまで気付かなかったけど?」
それはそれは、気付いた私の方が不思議だと言う。
「だったら私は人の様子を見てるのが好きだからかもしれない。趣味、人間観察だから、ね?」
おどけた調子で言うと、日菜子と蒼くんは笑ってくれた。
「それで、実は今度の日曜日貰ったチケットで水族館に行くんだけど……」
あら、水族館デートなんて王道じゃないか!と内心ムフフしていると、続く言葉に私は言葉に詰まることになる。
「実はチケットは四枚貰ったんだ。そんな訳で……」
「有紗と要も一緒に行こう!」
そう声高らかに言う日菜子。
……。
「イヤイヤ!待ちなさい!君たち、付き合いたてのカップルのデートに付き合わされるこっちの身になりなさい!虚しさと悲しさしか浮かばんわ!」
思わず突っ込んだ私に、更に背後から再び声が掛かる。
「俺は行ってもいい。有紗が来るなら」
その声に振り返れば、先生にプリント持って行って教室に戻って来ていた要くんがそう告げてきた。