初恋の君と、最後の恋を。
また相馬先輩がゴールを決めた。
「その時に希人と初めて会話をしたけど、不思議なことにその日を境によく話すようになったんだ。見ての通り、あの性格だから。分かりやすくて付き合いやすい」
「雨降って地固まるってやつですかね?」
「そうかも。君はあの日の悩みはもう解消された?」
自分でびりびりに引き裂いた教科書。
無残な紙屑を見て、虚しくなった日のことをよく覚えている。
「…開き直りました。でもあの日がなかったら私は先輩とこんなにも親しくなれなかったから、良かったのかなって思ってます」
「そっか」
「あの日、同じ時間に同じ場所で落書きされた教科書と、破いた教科書を持っていた私たちは、出逢う運命だったと思うのです」
器用に箸を使う先輩の手元から、視線を上げると目が合う。
繋がれた運命は、友情が、愛情かーー
どちらにせよ、偶然で片付けてしまうには勿体ないよね。
「俺も、運命を信じているよ」
今日もまた先輩は優しく笑って、私の言葉に賛同してくれた。
先輩に恋をした。
けれど結ばれない運命。
神様は残酷かもしれないけれど、私は少しでも長く先輩の隣りにいたいだけだ。
だからもう少し、どうか傍に居させて欲しい。
「好きです、黒瀬先輩」