ワケありヤクザと鈍感少女
「・・・え!一人暮らし始めたの!?

沙綾1人で大丈夫?」

「怖、火事起こすなよな。」

心配そうな亜夢と茶化してくる陽龍。

・・・予想していた返事だ。

やっぱり心配してくると思った。

私は明るく返す。

「・・・だ、大丈夫だよ!平気平気!

洗い物だってできるし!」

「・・・なんかあったらすぐいうんだよ。」

「特別に俺が料理作ってやるぞ?」

「・・・は、はい。」

亜夢と陽龍は、

私にとってすごく頼りになる存在である。

幼い頃、両親を交通事故で亡くした私と兄は

祖父母に引き取られ、大切に育ててもらった。

私と兄に愛情を沢山くれた祖父母を

・・・2年前に亡くした。

その後、5歳年上の兄は悪い仲間とつるむ様になり、

ある日突然姿を消した。

電話もメールも繋がらない。


今もどこにいるのか分からない。

悲しみに暮れていた私だったが、

その後、一人暮らしを決意した。

せめて、自分のことくらい自分でしよう。

そう思っての決断だった。


・・・そして放課後、私は亜夢に夜ご飯の買い出しに

雨の中付き合ってもらった。
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