ワケありヤクザと鈍感少女
「・・・じゃあ、気をつけるんだよ。」

最後まで心配し続けてきた亜夢を家まで送り、

私は傘をさしながら早足で家へと帰る。

家まであと少し・・・

そんな時だった。

家の目と鼻の先の路地裏で

この雨の中傘もささず、

雨でぬれたアスファルトにしゃがみこみ、

全身びしょ濡れの男性の姿が見えた。

気になった私はゆっくりと近づく。

黒のスーツに、

真っ暗でも形がしっかりと分かる

派手な柄のシャツ。

近くに身元のわかるようなものはなさそうだった。

「あ、あの。大丈夫ですか・・・?」

私は思わず男性に声をかける。

なんの返答もないので、

しゃがんで彼の様子を伺ってみる。

そして、彼と目が合う。

すると彼はすごく驚いたような目をしている・・・


ように感じた。
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