今夜、シンデレラを奪いに 番外編
「俺の知る限り理緒が敬語を省くのは、彼女の両親と猫のリク相手の時と、」
その後の言葉はわずかに間を挟んだ後に付け加えられた。
「あと、彼女の幼馴染みくらいだ」
気のせいか声のトーンが沈んで聞こえたので、もしかしたら幼馴染みは男の人なのかもしれない。
高柳さんを励ますつもりで「ご家族も幼馴染みの人もご存じなんて、もうすっかりご夫婦みたいですね」と伝える。
だって私も、夏雪がまだ私に敬語で話すから淋しい気持ちはよくわかるのだ。
でもそれは意外な話題に水を向けてしまった。
「そいつが偶然会社にいるから知ってるだけなんだ。今は理緒の同僚で、」
「それは………」
「気になりますよね」と言う前に、高柳さんは微かに笑って首を振る。
恋人が幼馴染みと一緒に働いていて、自分には使わないようなくだけた言葉で話しているのは…………私なら、気になってしょうがないけどなぁ。
「理緒はエヴァーに知り合いがいないから、今ではそいつがいて良かったと思ってるよ。」
さすが高柳さんはオトナだなぁと思ったけれど、その言葉はまるで自分に言い聞かせてるようにも聞こえる。職場での様子とは違って親近感が持てる一面だ。
恋にほんの少しの痛みを持っているのは、きっと誰も同じ……。
「私が高柳さんの立場なら部長権限でその幼馴染みの人を異動させますね!飛ばしてやります。」
「あはは、そーするか」
もちろんただの軽口で、高柳さんはそういうことする人じゃないのはわかってる。
高柳さんと話している時間が長くなったせいか、ケーキを選びにテーブルに戻った理緒さんが少しだけこちらを気にしてる。
いやいや、理緒さん。高柳さんは私なんて眼中に無いから大丈だよ。
………と後でこっそり伝えようと思ったけど、高柳さんはきちんと彼女を気遣ったのでその必要はなかった。
「ちょうど理緒のこと話してたんだ」
と言って彼女をからかいつつもフォローする様子は、ただただスマートで言葉も無い。
その後の言葉はわずかに間を挟んだ後に付け加えられた。
「あと、彼女の幼馴染みくらいだ」
気のせいか声のトーンが沈んで聞こえたので、もしかしたら幼馴染みは男の人なのかもしれない。
高柳さんを励ますつもりで「ご家族も幼馴染みの人もご存じなんて、もうすっかりご夫婦みたいですね」と伝える。
だって私も、夏雪がまだ私に敬語で話すから淋しい気持ちはよくわかるのだ。
でもそれは意外な話題に水を向けてしまった。
「そいつが偶然会社にいるから知ってるだけなんだ。今は理緒の同僚で、」
「それは………」
「気になりますよね」と言う前に、高柳さんは微かに笑って首を振る。
恋人が幼馴染みと一緒に働いていて、自分には使わないようなくだけた言葉で話しているのは…………私なら、気になってしょうがないけどなぁ。
「理緒はエヴァーに知り合いがいないから、今ではそいつがいて良かったと思ってるよ。」
さすが高柳さんはオトナだなぁと思ったけれど、その言葉はまるで自分に言い聞かせてるようにも聞こえる。職場での様子とは違って親近感が持てる一面だ。
恋にほんの少しの痛みを持っているのは、きっと誰も同じ……。
「私が高柳さんの立場なら部長権限でその幼馴染みの人を異動させますね!飛ばしてやります。」
「あはは、そーするか」
もちろんただの軽口で、高柳さんはそういうことする人じゃないのはわかってる。
高柳さんと話している時間が長くなったせいか、ケーキを選びにテーブルに戻った理緒さんが少しだけこちらを気にしてる。
いやいや、理緒さん。高柳さんは私なんて眼中に無いから大丈だよ。
………と後でこっそり伝えようと思ったけど、高柳さんはきちんと彼女を気遣ったのでその必要はなかった。
「ちょうど理緒のこと話してたんだ」
と言って彼女をからかいつつもフォローする様子は、ただただスマートで言葉も無い。