伝説に散った龍Ⅰ
食べ終わったご飯に手を合わせ、シンクに運ぶ。
「……っ」
その時グッと堪えた何かは
きっと零れそうな涙であり
また、叫び出してしまいそうな心の声でもあったのだろう。
ーーそれから洗面所へ移動し、ナチュラル味強いメイクと髪のセットを終えた。
次、母の形見である赤いサファイアのピアスを耳たぶにそっと付けて
「よし。ーー、あそうだ」
そしていつもなら、
このまま徒歩で学校へと向かう。
…ところなんだけど、今日は少し違った。
というより、あることを思い立った。ついさっき。
このどうしようもない寂しさを紛らわすことの出来る、その手立てを。
ーー私は二階にある自分の部屋に戻り
クローゼットに手をかけた。
「ーーあった」
そのまま勢いよく持ち上げたのは
年季の入った、赤のギターケース。
ファスナーを開けると、
真っ白なボディが顔を出す。
丁寧に彫られた、『Seri』のサイン。
唐突に
“今日はこいつを学校に連れていこう”と思った。
何故だろう。
本能がSOSを出している。
『今日はこいつがなきゃい
けない』と。