伝説に散った龍Ⅰ





しばしの、いや、長い間、



空気は滞ったままだった。



世那は頭を抱えてこっちを見てるし。



伊織はこれでもか、ってくらい口を大きく開けて私を凝視。



水月双子は「は?」って感じ。



近藤は私と伊織をみくらべてる。
…なんでかは謎。



本郷は、と言えば…
スマホを、いじってるのかな、?



みんながみんなそれぞれに思考をめぐらせる。



答えなんて出るはずのない思考を、延々と。



「…んなわけ、ないだろ」



だってほら。
やっと口を開いたと思えば



聞こえてくるのは疑いの言葉。



「…、おい柚」



水月の赤い方が口を開く。



それさえも寄せ付けずに、水月柚は私を睨むのだ。
相当な嫌われようだな。



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