伝説に散った龍Ⅰ
ごめん、世那。
ごめん
ーー私。
自分まで裏切って、世那には当然のごとく不安な思いさせて。
自分がとてつもなく情けない。
でもまだ、言えないんだ。
ーーのことは。
知ったら、みんながきっと、私から離れていくだろうから。
独りには、もうなれない。
伊織の、黒龍の、
優しさに、触れてしまった今は。
もう後戻りは、できない。
「でね、世那。
…一緒に、暮らさない?」
私の頭の中に渦巻く全ての感情は、一時の時の流れに任せよう。
今この瞬間だけ、私はそう思うことにした。
「私は、一緒に居られなかった時間を、穴埋め出来たらな、って思う。
世那がわたしといっしょにいることで、嫌な思いをするリスクがあるのも承知。
そんなことがあったら、その時は金輪際近づかないって約束する。
だけど、」
ーーたったひとり、この世に生きてる肉親だもん。
一緒にいたい。