好きが伝われ
「でもさ、紫衣ちゃん泣いてなかったよね?」
な、なんでそんなことまで!?
「なんでそんなことまでって思ったでしょ」
やっぱり心読まれてる…
「俺の後輩を応援してたんだけど、でも相手のキャプテンも上手いよな〜って話してて。
知らないうちに紫衣ちゃんのこと見てた。」
見られてたって思うと、なんだか恥ずかしい。
「で、試合終了でお互いに挨拶する時さ。
ほんとは悔しくてたまらないくせに、笑顔で相手と握手する姿。
俺忘れられなかった。あんなに綺麗な笑顔」
綺麗な笑顔って。恒樹さんには完全に劣ってますよ。
なんということは、言えないけど。
「そっから。ずっと紫衣ちゃんのことが好きだったんだ。
俺、結構一途じゃない?
だから、入学式の時紫衣ちゃん見つけた時ほんとに嘘かと思ったんだ」
可愛い笑顔を作って、私を見てくる。
不覚にもドキッとしてしまった。