好きが伝われ


中に入ると、二人がけに案内される。

「はぁ、私は〜」

歩夏が答える前に私が答える
「アイスカフェオレでしょ?」

「そう。それで、紫衣はアイスココアの生クリーム付き」

お互いにお互いの頼むものもわかってる。



「よくここで話したよね〜。いい事も、悪い事も」

歩夏は遠くを見て話す。


「うん。恋バナ、以外はね」

歩夏と目が合う。

なんとなく、わかる。
歩夏が寂しそうな顔してる気がする。


私たちの飲み物後運ばれてくる。

1口飲めばいつもの味。


高校に入ってからは行ってなかったけど、今でも味は覚えてるもんだよね。

「あ、そうそう。はいこれ」


さっき買ったラッピング袋に入ったパワーストーンを渡す。

「え?これ私にだったの?」

「そう。私とおそろい」


今までおそろいなんてしたことない。

今日が、はじめて。


「…歩夏はあの時私に本音で話してくれた。」

「え?」

「翔太の事が好きだって」


あぁ、とだけ言って下を向く歩夏。

「だけどあの時、私は黙ってた。それは…歩夏と離れたくないから」


だから本音は言えなかった。

いや、言えなかったと言うよりも…考えたくなかったの。


だって考えたら分かってた。

あの時既に翔太の事が好きだってことが。


だけどそれに気づけば、私と歩夏は同じ人を好きになってて…つまり…ライバル関係になってた。
< 54 / 177 >

この作品をシェア

pagetop