暴走族の天使〜紡ぐ言葉を聴きたくて〜
北斗side

ついにこの日がやって来た

この日の為に綿密に計画を立てて

あらゆる想定をいくつも頭の中で

シミュレーションしてきた

詩に危険が及ばないように

笑顔で楽しんで欲しくて…

全ては詩の為だ

最後の確認を終えて周りを見渡すと

階段の上で詩は下で動く俺らを

見ていた

確認に必死になり過ぎて

放って置きすぎたか…

寂しそうにしてやがる

暴走まであと1時間を切った

お披露目暴走がどういうものか…

そしてこの暴走が俺達にとって

どれだけ大切かを教えてやろう

階段に近付き、詩を呼ぶと

すげぇ勢いで飛び付いてきた

やっぱ寂しかったんだな

詩を片腕に抱えて倉庫を出て

この暴走がどんなものかや

俺らの気持ちを話して聞かすと

俺の胸元にぴったり引っ付いてしまった

少し怖がらせたか?

いや…違うか

詩は俺らのことが心配なんだよな、きっと

どこまでも優しいからな、詩は…

だからこそ惚れたし守りたいと思う

そして他の星竜の奴らも

そうなんだろう

星竜にとって、詩は大切な人間で

絶対に守りたい存在

誰かに尽くすことが当たり前に出来て

何か見返りを求めるなんてことは

鼻から頭になくて

いつも温かい目で見守って

俺らを大切にそっと包んでくれる

詩が笑ってくれるだけで

俺らは心の中で嬉しいと思う

この笑顔を守るために俺らは

俺らのやり方を貫く

笑顔で小指を絡める詩に

絶対に守り抜くこと…

必ず詩の元に帰ることを誓った









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