Smile  Again  〜本当の気持ち〜
「ほらほら、受験生がいつまで寝てるんだ?」


そんな声が聞こえて来たと思ったら、いきなり日光が俺の顔面に注ぎ込んでくる。


止むなくソファから起き上った俺に


「おはよう、聡志。」


と笑顔と一緒に朝の挨拶をくれる由夏。


「今、何時だよ?」


「8時。」


おいおい、勘弁してくれよ。覚悟はしていたが、昨日の夜は長く、そして忍耐力をひたすらに消耗させられた。


一向に眠くならず、止むなく持ってきた参考書を広げてみたものの、ほとんど頭に入って来なかったのは、認めざるを得ない。


時計が4時を知らせる音は間違いなく聞いた。ということは、4時間も寝てないことになる、ホントに勘弁してくれよ・・・。


「ハブラシ、用意しておいたから、顔洗って来なよ。」


俺とは対照的に、爽やかな朝を迎えている由夏。


「お前は寝られたのかよ?」


「うん、おかげさまでぐっすり。」


はいはい、そりゃ、ようござんしたね。俺が来た時は、泣きべそかいてた奴が、いい気なもんだ。本当はこう毒づいてやりたかったが、そんなことを言っても仕方ないので、しぶしぶ洗面所に向かう。


冬の朝の冷たい水で、ちょっとシャキっとして、戻って来ると、食卓には朝げの準備が。


「ゴメン、パンでよかった?」


「いいも悪いも、朝飯用意してくれたのかよ。」


「そのくらい、当たり前じゃん。無理聞いてもらったんだから。」


うわぁ、朝飯そのものはもちろんだけど、この由夏のなんていうか「新妻感」みたいなのが、すげぇ嬉しいんだけど。


「今、ハムエッグ焼くから、先トースト食べてて。」


「ああ。じゃ、いただきます。」


眠さも吹き飛んだ俺は、さっそくトーストにかぶりついた。
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