好きです、田畑さん!

自覚


それからあっという間に二学期が始まった。


あれから夜神とは会っていない。



あたしは2年A組の教室のドアの前にいた。




どうしよう……、教室に入れない……。




あんな事があった手前、どんな顔をして会えばいいか分からない…!



あの日、強引にキスされた後、瑠衣から電話が来てやっとの思いで立ち上がるとクラスの人達と合流した。



夜神がいるんじゃないかとびくびくしてたけど、その時はもう夜神の姿はなかった…。


安堵感でいっぱいになったあたしなのに、その日から今日までずっと夜神を思い出さない日はなかった。




これだけ期間があれば、気持ちの整理がつくと思っていたのに……。



会わない日が続けばあの日の事がより鮮明に思い出されて、



余計に苦しかった。



大好きな少女漫画を読む気にさえ、なれなかった。





あたしはそっと教室のドアを開ける……。






あ。



夜神!




ーードキッ!!



約一カ月ぶりの彼の姿が目に飛び込む。


その途端、急速に鼓動が早くなったのがわかる!



お、落ち着け!!



ここは奴の教室でもあるけど、あたしの教室でもあるんだからっ!


物怖じせずにただ普段と変わらずにいればいいだけ!



そう自分に必死に言い聞かせたけれど、気付かれないようになるべく音をたてず、気配を消して教室に入った…。




よし、順調…!



このまま自分の席まで静かに行ければ……。





と、その時だった。




「おはよう、田畑さん!この前は親睦会参加してくれてありがとね!!田畑さんの言う通り、企画潰さなくて良かったー!!」
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