ちゃんと伝えられたら
1
会社の買い物に社用車で来た私は困っていた。

店に入る前には小雨だったので、傘を差さずに小走りに店に入った。

その買い物の間に、雨が強くなってしまったのだ。

「どうしよう…。」

私は店先で空を見上げる。

かなりの雨量で、地面をたたきつける音が大きい。

こんな短時間でこんなに降って来るなんて。

隣で小さい子供とお母さんも困った顔をしていた。

「雨に濡れちゃうから、もう少し待とうか。」

そんなお母さんの言葉に、小さい子はうなずいている。

でも…、私にはそんな時間がない。

仕事の合間に出てきたのだから、早く帰らなくては。

私は弾かれたように、雨の中に走り出した。

「あれ?」

< 1 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop