ちゃんと伝えられたら
強い雨の為、自分が乗って来た車の位置が分からなくなってしまった。

もともと方向音痴の私。

よく立体駐車場などで自分の車の置き場所を間違える事は…、多々ある。

「おい。」

私は誰かに腕を掴まれた。

そしてある車の後部座席に押し込まれた。

私は自分の身に何が起こったのか分からない。

「大丈夫か、篠田。」

私は聞き慣れた声に、我に返った。

「坂口さん…。」

運転席から後部座席にいる私を覗いているのは、同じ会社の坂口さんだった。

「会社帰りにここに寄ったら…、一体何をやっているんだ。」

私は厳しい先輩の声に肩をすくめる。

「社用車を止めた場所が分からなくなってしまって…。」

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