ちゃんと伝えられたら
「いや、志保のこの書類が終わったら今日は帰るぞ。」

綾人さんは自分のパソコンの電源を落とした。

「今から確認の電話をするから、その時間だけ待っていてくれ。」

綾人さんはその場で電話を掛けた。

「…はい、届きましたか?…ええ、内容の確認をしてもらったらお電話下さい。それで私達は帰宅しますので。」

私は電話を切った綾人さんに聞いた。

「やっぱり夕方までお仕事をしていきましょうよ。せっかく出勤したんですから。」

私の問いかけに、怖い表情をした綾人さん。

「もう義務はちゃんと果たしたんだ。それも本当なら締め切りはもっと先だった書類を納めたんだ。それに…。」

綾人さんは私の方へ近づいて来て頭を撫でた。

「志保は病み上がりなんだぞ。そんな無茶をさせられるか。また倒れられたら…。」

綾人さんはすごく困った顔をした。

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