限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「会長ですか……」


おじいさんの正体を聞いて、胸騒ぎがする。会長ということは、大ちゃんのおじいさんだ。

なんの用事でここに?

まさか、社長同様私の顔を見ようと?

一瞬寒気を感じていると、課長がバタバタと私の元に掛けてきた。焦った顔をしている。


「宮坂さん、会長がお呼びだよ。何かした?」

「いえ、何も身に覚えはないです」


本当はあるけど、面識がないからあるとは言えない。多分大ちゃんとのことで来たのだろう。

嫌な予感が的中して、足がガクガク震えそうになる。私一人で対処できるだろうか。


「真帆、大丈夫? 顔色良くないけど、本当はなにかあったの?」

「めぐみ……なにもないけど、お願いしてもいい?」

「うん」

「豊川さんに会長が来てると連絡してくれる?」


めぐみは事情が飲み込めなくても、了承してくれた。詳しく話している時間はない。豊川さんに連絡したら、きっと副社長に話してくれる。

だから、助けが来るのを期待する。もし不在だった場合は私ひとりでなんとかしないとならないが。


「宮坂さん、早く!」

「はい、行きます」
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