限りない愛~甘い彼に心揺れて~
副社長が慌てて私のグラスを取り上げようとしたけど、遅かった。グラスは空だ。

「だって、喉が乾くから……仕方ないんだもの。だって、大ちゃんがかっこいいから……ドキドキが止まらないんだもの……もう、限界かも……」


慌てる副社長がおもしろくて、ニッコリと笑う私は徐々に瞼が重くなってきた。眠い、眠い……。


「は? 限界って? おい、真帆? 大丈夫なの? おーい、真帆ー?」


副社長の呼び掛けがどんどん遠くなっていく。飲みすぎないようにと気を付けていたのに、どうしよう。

ちゃんと今日中に帰ろうと思ったのに、立つ力がない。眠い、眠い、寝かせて……。

ソファーのひじ掛けに頭を乗せた私はそこで意識を失った。

ふわふわした雲の上に寝ている夢を見た気がする。

「かわいすぎる」と声が遠くで聞こえたが、誰が言ったのかは分からない。

唇に柔らかい何かが触れたけど、それが何なのか分からない。

その正体を副社長からキスだと知らされたのはそれから1か月後経過してからである。
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