限りない愛~甘い彼に心揺れて~
私が小さく息を吐いて、足に力を入れたとき、腕に他者の力が加わって軽く立ち上がることが出来た。

私の腕を持って、立ち上がる手助けをしてくれたのは緒方さんかめぐみだと思ったけれど、その手の人物を確認して、目を見開いた。

思いもよらない人物は、さっきから視線が気になっていた副社長だったからだ。彼は険しい顔をしている。


「大丈夫? 具合が悪いなら横になるか、帰った方がいい」


今なんて言った?

クビだから家に帰れと言った?

言われると思っていてもいざ言われると受け入れられない。

嫌だ、やめたくない。新しい会社で働きたい。

私は左右に首を何度も振った。ここにいたいという意味を込めて。


「そんなに振らなくても……。大丈夫なんだな? なら、いいけど」

「あの、私が見ています。何かあれば支えますので」

「あー、うん。頼むね、よろしく」

「はい! お任せください!」


またもや脱力する私の体をめぐみが支えたことで副社長は私から離れた。めぐみは私ではなくそこから去っていく副社長の背中に見惚れていた。


「山辺さん……山辺さん。宮坂さんをとりあえず座らせてあげないと」

「あ、はい。そうですね。真帆、しっかりして」


緒方さんはめぐみの顔の前で手を振って、めぐみの意識を私へと戻した。
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