君と出会えた物語。
第5章*⑅



ガチャ



朝日を浴びると今日も1日が始まるんだなって実感する。



みんなで遊んだあの週末以来、私は長い髪を巻いて少しだけお化粧をするようにしている。



あと、3人でお揃いで買ったうさぎはスクバに付けた。



それだけなのに少しだけ自分に自信を持てる。



「よっ!」



自転車に乗ったヒロが私の隣で止まった。



見かけたら声をかけると言ってくれた日からヒロはほぼ毎日のように朝声をかけてくれるようになった。



「おはようっ!」



自転車に乗ったヒロに初めて会った日はすごくびっくりしたなぁ。



最寄駅から学校までは4駅ぐらいだけど自転車ではちょっと遠いぐらい。



その距離を学校ある日は毎日自転車で通学してるらしい。



「今日も乗ってく?」



その言葉が嬉しくて毎日同じ時間に家を出ている。



まぁそんなことはヒロには内緒だけど。



「わーいっ!」



そう言って自転車にまたがった。



「ちゃんと掴まっとけよー。」



私は自分の座っているところの前の方を掴む。



「はぁーいっ!」



出来る女の子とかはここで肩とか腰とかに手を置くんだろうけど…



私にはちょっとハードルが高い。



自転車の後ろに乗せてもらうことも初めは抵抗があって…



今はだいぶ慣れてきたけどそれでも緊張はするかな。



「お!ヒロに朱莉じゃん、おはよー!」



「裕太!それにみんなおはよーっ」



裕太、達也くん、江美に結海の4人はいつも一緒に登校している。



「よいしょっ!」



ヒロの自転車から降りていつものようにみんなと正門の前で合流した。



「じゃあ、俺チャリ置いてくるわ。」



「うん!今日も乗せてくれてありがとう!」



ニコッと笑って再び自転車に乗ったヒロはそのまま駐輪場に向かった。



今日もヒロはかっこいいなぁ...



「相変わらず仲良しだね。そろそろ付き合うんじゃない?」



気持ちを打ち明けてから江美にこんな風に冷やかされるのもいつもの事。



こんな風にいつもの事って思えるようになって、みんなには感謝だな。



ずっとこの生活が続けばいいって心から思う。



なんて考えながら上履きに履き替えていたら後ろから声をかけられた。



「下田さんちょっといい?」



後ろを振り返ると、怖い顔をした女子のグループに囲まれていた。



これはいつもの事じゃない。



怖い…。



なんだろ…。



「…。」



うまく言葉が出なくておどおどしてしまう。



そのグループを率いてると思われるショートカットの可愛らしい顔をした子がしびれを切らしたのか怖い顔をして、



「いいから来て。」



と、黙ってその場から動かない私に催促する。



怖くて逃げようとしても足がすくんで動けない。



その女の子は動かない私の腕を無理矢理掴んで校舎裏まで早足で私を引っ張った。


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