危険なあなたともう一度…
再会
あれから1週間が経ちどうしてもあの人にお礼が言いたくて行きと帰りあの道を通ったけど彼と会うことはなかった。

何故、この私がお礼言う為だけに真希との帰る誘い断ってまで探しているんだろうか…。

そろそろ真希も疑って来ていた。
今まで男の話を一度もしたことのない私がこんな話したらきっと必要以上に食いついて来るに決まってる

それにしても彼は何をしている人なのだろうか。サラリーマンにしてはスーツを着崩し過ぎてたし。凄い高そうだったしな…。

何か超エリートさんで有名な大きな会社に務めてるお金持ちさんとかかな?

あんだけ美男子ならモデルさんとか?
身長も凄く高かったしありえるよな…

「羽久安最近凄い考え込んでるよね?」

「え?」

「何かあったの?」

「え…あ、いや」

「隠し事するの?最近不自然に誘いも断るし…もしかして私が嫌いになった?」

「違うよ!」

「じゃ、なんで?」

「…実はさ」

真希には隠し事は出来ないなやっぱり。私嘘だけは昔から付けないから真希にはすぐバレてしまうんだよな…。

真希に全てを話すと真希は涙目になりならが聞いてくれた。

「…羽久安がっ、無事で良かった~」

「泣かないでよー!」

「だって…羽久安が」

「私は大丈夫だから、ね?」

「うんっ…」

「で、その人が好きなの!?」

「ちょ!声でかい!」

ガタガタガタっ…

ほら…男子共が真希の声に反応して椅子から立ち上がり目を見開いてこっちを見ていた。

私は呆れながら真希を少し睨むと"ごめん~"と軽く言ってきた。私はため息をつきながらも真希に全て話す。

「ぅーん…ま、お礼言いたい気持ちはわかるけど1週間も経つなら彼も忘れてるんじゃないかな?」

「…やっぱりそうなのかな」

「でも、もしかしたまた会えるかもよ!ほら、必然って言葉があるでしょ?」

「…ぅーん」

「羽久安…」

「今日も行ってみる!少し待ってみる」

「うん!頑張れ羽久安」

「ありがとう羽久安」

真希に話して少しスッキリして諦めずに少し頑張る気が出てきた。

それに今日会えなかった諦めることにしよ。
真希が言うように彼も私の事なんてきっと忘れてるに違いない。

それでもお礼を言いたいのに変わりはない。
ずっと会えたらお礼として渡そうとしていた龍のデザインが入ったピアスが包まれた小さな紙袋を鞄から出す。

「…渡せるといいな」

たまたま買い物してる時には寄ったアクセサリーショップで見かけて彼ぽくて買ってしまった。

放課後私は真希に背中を押され真っ直ぐにあの場所に向かう。やっぱり彼はいるはずがなく私は歩道沿いで彼が来ることを願い待つ。

「あれ?羽久安ちゃん?」

「!?」

「やっぱり!ここで何してんの?」

「…べつに」

「うわ!噂通りドライだな」

「…なんか用?」

「側で見ると迫力やべぇな」

「…」

なんで彼だと期待して振り返ってしまったんだろうか。普通に考えて彼が私の名前を知ってるはずがないのに…馬鹿みたい。

私は彼らを無視して歩道を渡って帰ろうと彼らを通り過ぎようとするが

「おい、無視はいけねぇだろ」

「…離してくれる?」

「やだ」

「…」

「これから一緒に遊ぼうぜ」

「…離せ」

「ああ?」

「ちょっと生意気じゃね?可愛いからって」

「…っ」

「嫌がってるよその子」

「!?」

「誰だてめぇ」

「通りすがりのものだけど」

「おっさんは引っ込んどけ」

「酷いな~俺これでもまだ24だよ?」

「うるせぇな」

「今いいとこなんだからどっか行けよ」

「それは無理かなその子困ってるぽいし」

「うぜぇなー!!」

ガンッ…

「「「!?!?」」」

「…っ」

「この壁みたいになりたくなかったら…その子を離せよガキども」

彼は側の壁を殴り凹ませて欠けた壁が地面に落ちていく…それを見た彼らは顔を真っ青にさせて走り去って行った。

まさか…彼にまた助けられるなんて。
助けられて会うのは2回目だ…。

彼は私に歩み寄り私の頭に手を乗せて優しくなでてほほ笑みかけてくれる。

さっきの異常な殺気はもうなくて私の知っている優しい彼だった。

「二度も君を助けるとはな」

「え…」

「あれ?忘れちゃった?引かれそうになった君を前に助けたんだけど」

「いや…違います」

「ん?」

「覚えてたんだなって…」

「ふっ…当たり前だろ」

「…っあ、あの!」

「ん?」

「この間は助けて頂きありがとうございます…それとまた助けて頂いて」

「気にすんな俺がしたことだから」

「あの、これ良かったら貰ってください…その些細な御礼と言うか…」

「…」

「嫌ならいいんです!」

「ありがとう。いただいとくね」

「はい!ありがとうございます」

「…きみ名前は?」

「…明智羽久安です」

「明智…?」

「…え?」

「あ、いや、なんでもないよ?俺は桐生 梓」

「桐生さん…」

「梓でいいよ?」

「え、いや、そんな呼び捨てなんて…」

「俺は呼んで欲しいな?梓って」

「…っあ、梓…さん」

「ふっ…ふふ…あははは」

「え?」

「ごめんごめん」

「…」

「羽久安は可愛いな」

「え…」

「もう暗いし帰らないとね」

「あ、はい…」

「スマホ貸して?」

「え…はい」

梓さんは私のスマホを受け取ると自分のスマホを出して何か私のスマホに操作していた。

少しすると梓さんは私にスマホを返してくれて微笑んで私に言う

「俺の携番とアドレス入れといたからいつでも連絡してきてね?」

「え…」

「嫌ならすぐ消してくれていいからね」

「ありがとうございます…」

「なら良かった」

梓さんは私の頭を優しくなでて微笑みかけてくれる。なんか梓さんの笑顔ずっと見てたいって思うのはおかしいのかな?

まだ居たいってのはおかしいのかな?


「また会えるといいね」

「…はい」

「気をつけて帰るんだよ」

「はい」

梓さんはもう一度私の頭をなでて私に背を向けて歩き出してしまった。

私なその後ろ姿を見つめていると梓さんが立ち止まり私に振り返り私にスマホをチラつかせて口パクで何かを言っていた。

"待" "っ" "て" "る" "よ"

私の顔が見る見る熱を得ているのが自分でもわかる…梓さんはまた背を向けて歩き出してしまった。

少しして梓さんは見えなくなってしまった。
私はさっきの言葉を思い出して笑が浮かぶ。

"連絡待ってるよ"

って言っていた梓さんに無意識にニヤける。
なんか…少し幸せかもしれない。

家に帰ってもスマホを見ながら微笑む私にお母さんが不思議な顔で私を見ていたけど私はそんな事にかまってる暇はなく梓さんになんて返事をしようか考え込む…

なんて考えてたら気付いたら3日が経ち未だになんて返事するかを悩んでスマホと睨めっこしていた。

「羽久安のそんな光景見れる日が来るなんて」

「…ぅーん」

「でも、良かったね梓さん?に会えて」

「うん…でもなんて送ろうかな…」

「普通にお礼メールでも送るだけでいいじゃんないの?」

「そうなんだけどさ…」

「なに?」

「何か素っ気ないかなって…」

「お礼言うことが?」

「ぅん…男の人にメールした事なんてないから変に緊張しちゃってさ」

「ふふっ…」

「なによ」

「いや、羽久安が男の人に対してそこまで悩んでるなんて初めてだからさ」

「気持ち悪いよね…」

「そんな事ないよ?羽久安にはいい機会なんじゃないの」

「うん…」

「その梓さんの苗字って?」

「え?桐生だったかな」

「え…」

「ん?」

「いま…桐生って言った?」

「え、うん?」

「そっか…」

梓さんの苗字を伝えると真希は固い表情をして何か考え込みはじめた。

私は不思議に思いながらも変わらずスマホと睨めっこしていた。

それを真希が不安な顔で見ているとも知らず

放課後、真希は一弥くんと帰るらしく私はぼちぼち一人で帰り道を歩く。
帰り道もメールの文を考えながらスマホと睨めっこしていると

ドンっ…

「す、すみません…あっ」

「歩きスマホは危ないよ?」

「梓さん…」

「全然メールくれないからここに来たら羽久安に会えるんじゃないかなって思ってね」

「…メール出来なくてすみません」

「うん。ずっと待ってた」

またここで梓さんに会えた事が嬉しく心臓がバクバクいっていた。

梓さんも私に会いたいって思ってくれてたことに顔に熱を持っている事が自分でもわかるくらいだった。

「忙しかったのかな?」

「あ、いや、その…」

「ん?」

「…何て送ろうかずっと悩んでまして…」

「…」

「…あの…」

「やば…」

「あ、ですよね!やばいですよね?メール一つに3日も送れないなんて…男の人にメールとかしたことないもんで」

「…」

「なんか…すみません」

私は気まづいのと恥ずかしさに顔を伏せていると急に視界が暗くなって状況を理解するのに少し時間がかかった

私…梓さんに抱きしめられてるんだ…。

心臓の速度が上がるのが聞こえる。
恥ずかしい…梓さんに聞こえてないよね?

「…っあ、梓さん?」

「やばい…超可愛いんだけど」

「え…」

「羽久安のスマホのアドレスに男は俺しかないって事だよね」

「…はい」

「それに俺に返事考えてたなんて可愛すぎ」

「っ…」

「ねぇ…変なこと言っていい?」

「はい?」

「いま凄く羽久安にキスしたい」

「っ!?!?」

「ごめん…変なこと言ったね忘れてね?」

「っ…っ」

どうしよう…いつもなら男にこんな事されたら嫌なのに…話しかけられる事すら嫌で嫌でどうしようもないのに…

梓さんは嬉しいなんて思ってしまっている自分がいることが信じられなくて言葉に詰まる

いつも見たいにキッパリと言えばいいのに梓さんにだけはこんなに心臓バクバクで自分じゃないみたいで…

私がオドオドしていると梓さんは私を少し離して私の頭に手を乗せて優しくなでて私よりはるかに高い身長で私と同じ視線に腰を下げて私を見つめてくれる。

それすらも心臓の音がうるさくて梓さんに届きそうなくらいだ…

「今日はちゃんとメールしてね?」

「…はいっ」

「いい子だ」

「…っ」

「暗くなって来たから送るね?」

「いえ、もうすぐ近くなんで大丈夫です!」

「そう?じゃ、気を付けて帰るんだよ」

「ありがとうございます」

「メール待ってるからね」

「…頑張ります」

「ふっ…なんだそれ」

梓さんは歯並びの良い歯を見せながら笑って私を見つめてくれる。

あ…この人が笑ってるのすごく嬉しい。
私もつられて自然と微笑み返すと梓さんが急に真剣な顔をして私を見つめる…

「どうかしましたか?」

「羽久安って本当可愛いのな」

「え…っ」

「惚れそう」

「っ!?!?」

「冗談だよ」

「っ…」

「さ、帰ろうか」

「はい…」

「じゃ、気を付けてな」

「ありがとうございます」

私は梓さんを通り越して歩道を渡りゆっくりと歩き出して振り返って梓さんを見ると梓さんはスーツのズボンのポケットに片手を入れて私を見ていた。

その表情は凄く切なそうな顔をしていた。
なんだか…私が知ってはいけない何かのような気がして私のはゆっくりと歩き出して家に帰った。

あの後、梓さんも家に帰ったのかな?
なんて、考えてしまうのは何故なんだろうか今の私にはまだわからない。

私はポケットからスマホを出して梓さんのアドレスを開いてあまり深く考えないようにしてメールを送る。

メール送るのがこんなに緊張するなんて。

"羽久安です。

今日はありがとうございました"

5分後…

"やっとメールくれたね^^*

こちらこそありがとうね?

羽久安はいま何歳なのかな?"

「…以外と早いな」

"いえいえ!

私はいま18歳の高校3年生です(><)"

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