【修正中】狼彼氏と子羊彼女


冷たい風が吹き始めた

馨の冷たい目に
私は引きそうになる


「馨…思い出してよ!!!桃花だよ!赤井桃花!!あんたは人のキス勝手に奪ったの!それで勝手に私の彼氏になったの」


零れ落ちる涙…
拭ってくれる人はいない


「馨…思い出してよ…」


「どうして泣くんだよ…俺…お前に泣かれたらどうしたらいいかわからなくなる」


馨は頭を抱えた

記憶が錯乱しているのかもしれない…

でも
前にもこの台詞…聞いたことある


私の運命を変えたあの日

旅行にいったあの日
馨の言葉を聞くのが怖くて涙を流した


"どうして泣くんだよ!俺…お前に泣かれたらどうしたらいいかわからなくなる"



けしてそれがいい言葉って訳じゃないけど
私はその言葉が嬉しかった

馨が…私を少しでも心配してくれている証拠だから


「馨…私馨に少しでも思い出してもらえるようがんばるから!!馨も一緒に頑張ろう?」


「なんかお前の言ってること嘘だとは思えない…、俺も頑張ってみるよ」


馨は少し引きつっているけど笑顔を私に見せてくれた

私はそれがすっごく嬉しくて涙がさらに溢れ出た


「だから泣くなって!」


「だってぇ〜〜〜」



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