御曹司は眠り姫に愛を囁く
彼の部屋
盆明け、オフィスには様々な観光地や田舎のお土産が持ち込まれた。

「これは熱海の温泉饅頭です」

若槻さんはにこやかに笑って、私のデスクにおいてくれた。

「ありがとう」

「熱海、家族で行ったの?」
沢口さんが若槻さんの配る温泉饅頭を早速、頬張りながら問いかけた。

「こんな年になって、家族で旅行なんて行きませんよ。彼氏と行ってきました・・・」

「彼氏??」

「はい、あれこれもう1年半交際しています」

「彼氏居たの??」

「沢口さん、失恋決定ね・・・」
梅原さんが落ち込む沢口さんに追い打ちの言葉を投げる。


「熱海の温泉饅頭が、これ美味しいよな・・・」

ミーティングルームから、須藤さんと三原さんが出て来た。

「どうぞ、須藤さん」

「ありがとう。若槻さん」

須藤さんと三原さんも箱から温泉饅頭を一つずつ貰った。

私と須藤さんは別れてから初めて顔を合わせた。


私はノートパソコンの画面を見つめ、彼から顔を逸らす。


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