御曹司は眠り姫に愛を囁く
「この母の写真と『ビジネスジャーナル』は貰っていい?」

「いいぞ。二人がお前の実の両親だからな」

今まで、共に居ても無口で、私の存在に興味がなかったと思っていた父。

目の前の父は堰を切ったように話し、私のコトを愛しさと寂しさを含めた熱い瞳で見ていた。

そんな父に違和感を感じ、二階の自室にこもってしまった。
父は愛情表現の下手な男性だったのかもしれない。
父の瞳に愛情を垣間見て、私はようやく実の娘ではないけど、可愛がられ、愛されていたんだと実感した。


私はスマホで、実の父の会社を調べる。

父が社長を務める『光洋エンジニアリング株式会社』は産業プラントの研究、開発協力、企画、設計、建設や機器調達などの全般的な業務に携わっていた。

対象分野は石油、ガスと言った自然エネルギー。
バイオや太陽光発電などの再生可能エネルギーの開発にも力を入れていた。


文系の私には理解し難い業界だけど。


母にはもう会えないが、父には一度会って話をしてみようと考えた。


< 105 / 171 >

この作品をシェア

pagetop