御曹司は眠り姫に愛を囁く
素直なコロロ
翌朝は土曜日で、久しぶりに土曜日出勤から解放され、休日。
駅前のスーパーの数量限定のタイムサービスの卵を狙い、支度を整える。

「財布OK，エコバックOK」

私は普段使いで使用しているシェルダーバックを斜め掛けして、玄関先に急ぐ。

ふと頭を空っぽにすると思い浮かぶのは椎名さんの顔。

ドアを開けて、外に出ると隣の部屋のドアも丁度開き、中から椎名さんとキスしていた女性が気怠そうな表情で出て来た。

私と彼女の行く先は同じエレベーターホール。

―――――昨日彼女は椎名さんの部屋にお泊りしたんだ。

御曹司でしかもイケメン、その上に性格も優しく、仕事も出来る。
ハイスペックな彼に女が居ない…その方が不自然。

「貴方、昨日私たちのキス見てたでしょ？」

「見てたワケでは・・・あれは偶然で・・・」

「そう？」

女性は不敵に私を見つめ、私をマウンティングして来る。

「まぁ、瑛には合わないわね…貴方」

エレベーターが到着し、扉が開くとすぐさま女性は乗り込んだ。

私が躊躇していると何も言わず、扉を閉じて階下へと下降させていった。


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