御曹司は眠り姫に愛を囁く
稜自身も今回の件で、相当参った様子で。

イベントで共に仕事をしているが、ケアレスミスの連続だった。

「稜お前な・・・」

俺は稜をバックヤードに引っ込めて人気のない所で注意する。

「ゴメン・・・兄貴」

「・・・自分が蒔い種だろ?お前は相葉さんと結婚して、父親になるんだぞ。もっとしっかりしろよ」

一番末っ子で、カラダが弱った稜。
そんな稜は母さんに甘やかされて育ったせいか、俺や兄貴に比べてわがままで自己中の性格に。
今回の件で、母さんは大変ショックを受けて、自分の育て方が悪かったんだと自分を責めて寝込む始末。

稜は稜で、貴崎さんのコトを傷つけるし。

「分かってる・・・」

いつものチャラい、どこか人を馬鹿にした口調はなかった。

稜は稜なりに真摯に現実を受け止めようと努力している。

「俺は応援でイベントに来てるだけだ。ほら、戻るぞ」

俺は稜の背中を優しく叩き、イベントスペースに戻ろうと踵を返した。


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