御曹司は眠り姫に愛を囁く
「これ…スタンドのお金です」

私は7万円の入った封筒を副社長に渡した。

「・・・最初に言っただろ?牛肉のアスパラ巻きのお礼だって・・・」

「それでは自分の気が晴れません。受け取って下さい・・・」

「お金は要らない」

副社長は受け取りを拒否する。
困った顔で嘆息する私に副社長が提案した。

「じゃスタンドのお礼は君が俺の部屋に来て、手料理を振舞うのはどう?」

副社長の部屋?


「それでいいんですか?」


「いいよ。外食ばかりだから、家庭料理に飢えているんだよ」

副社長はコーヒーを啜りながら、そう切り返す。

「リクエストは何ですか?副社長」

「うーん・・・そうだな・・・和食かな?
油ののった焼き鯖とか、大根と豚バラの煮物もいい」

「大根は冬の食材だし…今は・・・」

「君に任せるから・・・作ってくれ・・・俺の連絡先は知ってるよな」

「はい」

「できれば…君の連絡先も知りたいんだけど・・・」

「いいですよ」



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