御曹司は眠り姫に愛を囁く
「・・・ご馳走様」

副社長は私のパウンドケーキを気に入り、全部完食した。

作る者としての立場なら、残さずに食べてくれるコトが一番嬉しいコトで、次はもっと美味しい手料理をご馳走しようとやる気も生まれる。

「副社長相手なら、作り甲斐があります」

「そうか・・・久しぶりに元気な貴崎さんに戻ってくれて嬉しいよ」

「副社長・・・」

「笑顔が君のトレードマークだから・・・」


「ありがとうございます」

気が付けば、副社長の腕に腕が密着していた。

自然と頬が朱に染まって、心臓が騒がしい音を打ち鳴らす。

副社長も気づき、少しだけ腰を上げて移動した。

「狭い部屋ですいません・・・」

「でも、素敵な部屋だよ。君の色で溢れている。君はインテリアや雑貨が本当に好きなんだね・・・会社でもインテリアコーディネーターの資格取れるし、勉強してみたら」

「そのつもりです」

「そろそろ、俺は帰るよ。配送員がいつまでも、長居しては怪しまれるだろ?」

「そうですね・・・」

もう少し一緒に居たいと思うのは私のわがまま。副社長は段ボールを畳んで、梱包で出たごみをゴミ袋に入れて、帰っていった。


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