御曹司は眠り姫に愛を囁く
「稜さんは私と相葉さんが仲いいの知ってるでしょ?」

「・・・でも、このショールームで俺の正体を知らないのは相葉だけだし…お前だって、知ったんだろ?」

もっと早く知れば、こんなゲスな男に私の全てを捧げるコトなかったのに。

中学校から大学卒業するまでずっと周囲は女子だけで。
そりゃ合コンとかあったけど、他の皆に圧倒され、上手く男性とは打ち解けられなかった。

もっと積極的に攻めて、大学時代に彼氏の一人や二人と作って、男性の見る目を養うべきだった。

後悔先に立たずとはこのコトで。


「別れる前に、キスの一回ぐらいはさせて貰おうかな?」

稜さんは不敵に瞳を光らせて、ニヤッとした嫌な笑みを浮かべる。


私は思いっきり睨み据えて暴挙に出ようとする彼に抗議した。

「お前が睨んでも、全然怖くねぇよ。凛音」

彼の私の名前を呼ぶ声に甘さは微塵もなかった。


キスしようと私を端に追い込む彼。

そんな時、3階でエレベーターが停止。

彼の目が開く扉に向いた隙に、私は3階のフロアに飛び出した。


―――――私と彼が終わった瞬間だった。




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