御曹司は眠り姫に愛を囁く
「ここがお前の部屋だ…夕方には稜たちも来る。皆揃ったら、庭でバーベキューパーティーだ」

「わかった」

「その前にお前に相談したいコトがあるんだ。瑛」

兄貴が俺に相談ゴト。
昔から、兄貴の相談は俺に迷惑が被る話ばかりで、余り訊きたくない。

「兄貴の相談はろくな相談じゃないし。訊かない」

「まだ、何も話してないだろ?」

兄貴は眉を吊り上げて、俺に突っかかる。

「じゃ訊いてやるから…今直ぐに話してくれ」

俺は部屋の年代物のゴブラン織りの応接ソファに腰を下ろした。
兄貴も促され、テーブルを挟み、向こう側のソファに腰を下ろす。

「相談って何?」

「当主の座をお前に譲りたい」

「どうして?」

「俺は議員の仕事で忙しいし、当主の仕事まで出来ない」

「俺だって・・・これから、『シーナ』の社長に就任して・・・」

順番で行けば、爺様が当主の椅子に座るはずだったが、まぁ、爺様は八十歳の高齢あるから、当主を継承するのは無理だとは思っていた。次の順番で行けば、父さんで・・・

でも、曾爺様の遺言ではその二人をすっ飛ばして、兄を次期当主にとお達しだった。




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