涙味のさくらんぼ
お母さんside.
車の中で私は泣いた。お医者さんの説明はこうだった、足に腫瘍がある。悪性かどうかはまだわからない。この先、歩くこともできなくなる可能性が高いと言うことだ。私は、早く気が付いておけばよかったと後悔をした。家に着くと、すぐ夫に電話した。
夫は、高校の体育の先生をしている。
「あーちゃん?どうした?」私は泣きながら、今日の病院のことや、かりんの病気のことについて話した。夫は、すぐに帰ってきた。そして、私はまた、病気の説明や、これからのことについて話した。「まだ、あの子には言ってないの。お姉ちゃんたちにも言わないようにしよう。」四時過ぎの家の中は、重い空気に包まれた。
かりんの部屋に入ると、壁一面、サッカーのポスターや、サッカーボール、仲間との写真が目に入った。優勝して、貰った金メダルや銅メダルも飾られている。あの子からサッカーを取り上げるなんて、辛すぎる。私は、
本棚に向かった。全部といっていいほどサッカーの雑誌や新聞記事がたくさん収納されている。そこから5冊かかえて、病院に戻った。
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