涙味のさくらんぼ
忍び寄る影
お母さんはすぐに学校に連絡を入れて、整骨院クリニックに行った。診察をした時、先生は足のしこりに気づいた。私は、急に左足に力が入らなくなることや、最近高い熱が出たこと、毎日サッカーの時も同じ症状が出る事を伝えた。先生は、紹介状出すのでと言って、都内でもテレビなどで有名な総合病を紹介してくれた。
車の中でお母さんはあまり話すことはなく、表情は曇っていた。
総合病院では、診察室に入ると、まず色々な質問をされた。そして検査の後、精密検査をすることになった。私は言われるままに、診察着に着替え、まず、血液検査。そしてCTと言われる脳の検査をした。それから、結果を待った。お母さんはお医者さんに呼び出された。私は小児科の待合室でサッカーボールを見つけたので、右足で軽くリフティングをした。それを見た、子供たちが、かっこいいと言い集まってきた。
お母さんが戻ってくる頃には、看護師さんや、子供たちの保護者まで集まっていた、その様子をお母さんは悲しい顔で眺めていた。
「かりん、!」お母さんは呼んだ。伽凛は、
お母さんの元へと行った。「一気に人気者になっちゃったね?」お母さんは少しいたずらっぽく言うと、今日から入院すると言う事を伝えた。「そんなに悪いの?」私は、足のことよりも、サッカーができない悔しさにズボンを握った。お母さんはなだめるように、
「違うの、検査をするだけよ?検査をして、結果が出たらまたサッカーできるわ!」と言った。私は、小児科の中でも、同級生ぐらいの子供たちがいる6人部屋に移された。一番端っこで窓側だ。窓の外にはすごく大きな桜の木があった。
お母さんが入院手続きをしてる間、ベッドで真理子にLINEをした。
『ごめん、入院になった。』するとすぐ既読がつき、返事が返ってきた。『は?まじで言ってる?』『検査入院だから、すぐ退院できるらしい、でも、部員に迷惑かけてしまう、ごめんね』真理子からは『そんなことない!大丈夫、早く良くなってよね、』ときた。
その後も何回か真理子とやり取りをした後、
お母さんが来た
『今から着替え取りに帰るけど、何か必要なものある?』私は、即答、『サッカーの本と言った。部屋にはサッカーの雑誌や本がたくさんある。なんでもいいからサッカーができない分、目で触れて置きたかった。


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