ケモノ系ケモノ型男子。

「前野がお前を連れてきた時どうせ長く続かないだろうと思って俺は適当にお前を走らせた」


そうだろうなと思った。


私が来た時すごく嫌そうな顔してたもん。



「でもお前ってやつはガムシャラに走り続けてさー…。まさか初大会で準優勝するとわねー……」



でも先輩すごく褒めてくれましたよね。


私それが嬉しくて家帰って飛び跳ねましたよ。

ざまーみろって。



「負けたと思った」



プライドの高い先輩の口からそんな言葉が出でくるなんて……。




「俺は自分にも他人にも厳しいけど、正直お前には何もかも負けたと思ったよ」



「はは…大袈裟ですよ……」



「白井、最後に俺の弱音聞いてくれるか?」




「私でよければ……」



そう言うと黒谷先輩は私をぎゅっと抱きしめた。




「すげー惚れてたよ。お前のこと」




私は何をされて何を言われたのかこの時あまり理解出来なかった。




ただ私から再び離れていく先輩の顔が




とても悲しそうだったのを高二になった今でも覚えている。



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「やめてよ私の黒歴史……」



あの出来事以来、黒谷先輩とは一度も会ってない。



たまに遊びにくるOBがいたけど、その中に黒谷先輩はいなかった。



私に会いたくないのか、



陸上で忙しいのか。

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