ケモノ系ケモノ型男子。
きーちゃんは黙ったままだけど、
目線は私から逸らさない。
その冷たい目がなんだか見下されてるように感じて気分が悪かった。
とりあえず何か言わなきゃ…言われる前に言ってやった方がいい。
「い、言っておくけど森ノ宮が勝つから!」
「んなわけねーだろ」とか言われると思ったのにきーちゃんは以前黙ったまま私を見ている。
なんなの?私のこと舐めてるの?
「う、梅沢が確かに強いのは知ってるし、きーちゃんが早いのだって分かってるけど……今回は森ノ宮の皆気合入ってるし…絶対…絶対負けないんだからね!!」
うう負けるな私!
きーちゃんの冷たい目が怖くて弱腰になってたまるか!
今のきーちゃんはライバル校のエース……
強気でいかなきゃ!
するときーちゃんはスッと前に進んで私に近づいてきた。
もしかして…また追いつめられるパターン!?
2度もさせるかー!
と思って腕を構えてたけど、気づけば私はきーちゃんに抱きしめられていた。
「……えっ?」
「明香」
耳元で囁かれるその声は低くて一瞬きーちゃんの声かどうか戸惑った。
「今ここで俺と付き合うならこの大会の約束をなかったことにしてやってもいい」
私を包むきーちゃんの腕の力が強くなっていくのが感じた。
予想外の出来事が多すぎて頭が追いつかない。
えっと…きーちゃんが私を抱きしめて、私に……付き合うって…………
えっ!!??
「ちょっ……待ってきーちゃん…そんな急に……」
「うるさい。さっさと答えろ」
ど、どどうしよう…。
付き合った方がいいのかな…。
私が今ここで付き合ったら……この約束はなかったことになるし…
こーくんが陸上をやめる必要はない。
………………でも。