遠距離の彼 と 近距離の同期
いつものように向かい合わせで食べていると、先に食べ終わった天が、こちらをじっと見ていた。

「な、何?」

私が聞くと、天の長い腕が、こちらに伸びて来た。

大きな右手を私の頬に当て、親指で目の下のクマをなぞる。

「ごめんな。俺のせいで。
あんまり無理するなよ。」

顔を触られた瞬間にバクバクと跳ね上がった心臓が、優しい声で囁かれてキュンと絞り上げられる。

どこを見ていいかも分からなくて、視線を彷徨わせていると、天の隣にトンっと日替わりランチの乗ったお盆がが置かれた。

「お前ら、こんな所でイチャつくなよ。
恥ずかしいだろ。」

春山さんが苦笑しながら、腰掛ける。

天は、そっと私の顔から手を離した。

「べ、別にイチャついてなんかいません!!」

私が言うと、

「はたから見たら、イチャついてるように
しか見えないぞ?
伊藤、結婚やめて、乗り換えたのか?」
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