遠距離の彼 と 近距離の同期
私は、スマホを取り出して、天にメッセージを送った。

『ごめんなさい。
明日は、行けなくなりました。』

それだけ送って、今度は、海翔に連絡をしようとしたら、突然、着信音が鳴った。

『小川天』

ディスプレイに表示された名前を見て、一瞬、出る事をためらったが、親指を滑らせて、耳に当てた。

「もしもし。」

『もしもし? 結、なんかあった?』

最近、天は、プライベートでは、私の事を『結』と呼ぶ。

「天、私……… 」

ダメだ。
絶対、泣いちゃダメだ。

「私、もう、天とは会えない。」

『結? どうした? 何があった?』

ダメ。
今、喋ったら、泣いてしまう。

「何も。さよなら、天。」

私はそれだけ言って、天の返事を待たずに電話を切った。
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